満員電車にもいい加減慣れてきた今日この頃。
疲れのせいか、最近奇妙なものを良く見てしまいます。
背後から視線がするのに振り返ってみると誰もいないなど、多分誰でもそんな体験はあるかと思いますが、この体験はおそらく、世界で私しか体験していない怪奇現象だと思います。
それは今日最後の授業も終わり、友人の瀬那さまと一緒にスクールバスの申し込みをしに行った時の事。
申し込み書は学生サービスセンターの入り口の前に設置されており、私たちはそこで何時発のバスに乗るかと相談をしていました。
スクールバスは乗車希望者が大変多く、申し込みに行くともう満員だったという事があるため、これまで一度も乗車したことが無かったので、初めて乗車できる事に喜びを覚えていました。
私はちょうど左側にあった学生サービスセンターの壁に凭れ掛かって、乗車する予定のスクールバスの時刻をスケジュール帳に書き込んでいるところでした。壁はガラス張りになっていましたが、大きな棚や荷物が所狭しと並べられており、私が立っていた位置では室内を覗く事は出来ませんでした。
私は何故か、その壁に違和感を覚えました。何か人の気配がするぞ。と。
そんな気配を感じるやいなや、だんだんとその凭れ掛かっている壁から、何か―人の輪郭のようなものが浮かび上がってきたのです。
目の錯覚かと思い、視線を壁に向けると、案の定そこには誰もいません。
疲れている所為だと考え、またスケジュール帳に視線を戻したら、今度も人の輪郭―中年の男の様な―が浮かんできたのです。
どういうことだ。
まさか得体の知れないものに獲りつかれてしまったのかと不安になった時、ふと、デジャヴを感じたのです。
私はこの人物を知っている。その人物が脳裏によぎった途端、輪郭が徐々にあらわになっていきました。
少し油の浮いたごく平凡な丸顔。
広い額の上には白い毛髪。
彼の横には、かつて彼を慕っていた黒人秘書の顔も現れ始めた。
そう、そこには――
鈴木宗男が張り付いていた――私の頭が怪奇だと気付いたうららかな春の日。